歎異抄を読む

別序

原文

そもそもかの御在生の昔、同じ志にして歩みを遼遠の洛陽に励まし、信を一つにして心を当来の報土にかけし輩は、同時に御意趣を承りしかども、その人々に伴いて念仏申さるる老若、その数を知らずおわします中に、聖人の仰せにあらざる異義どもを、近来は多く仰せられおうて候由、伝え承る。いわれなき条々の子細のこと。

意訳

そもそも、親鸞聖人ご存命の頃は、同じ志をもって関東よりはるばる京都まで足を運び、聖人と一味の信心を獲て弥陀の浄土に生まれたいと願った人たちは、直接、聖人から教えを受けたので、特に問題はなかったが、お弟子たちから仏法を聞き念仏する人が多くなるにつれ、聖人の仰せならざる異説が、近頃さかんに伝えられていると、人づてに聞いている。
嘆かわしいことである。それらの異説と誤りを、以下に述べよう。